技術・研究
研究段階の新技術・研究成果・特許 — 24 記事
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溶剤に溶けた鉛を99%以上つかまえる改質セルロース、金沢大が太陽電池の再生廃液で確認
ペロブスカイト型太陽電池は、薄く軽く作れることから次の世代の太陽電池として期待されているが、材料に鉛を含む。使い終わった電池を再生しようとすると、この鉛が溶剤に溶けた廃液が出る。鉛をそのまま流せないため、回収する手立てが要る。 ところが、既存の金属回収技術はほとんどが水溶液を相手にするよう作られている。吸着材は水の中で働くことを前提に設計されており、メタノールやN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)といった有機溶剤が主成分になると、金属をつかまえる力が落ちる。再生の工程で実際に出てくるのは、まさにその溶剤を含む廃液である。 金沢大学の研究グループは、福島大学および株式会社ダイセルと共同で、この条件で働く吸着材「DPE6」を開発した。土台にしたのはセルロースで、そこにジチオカルバミン酸基という硫黄を含む官能基を付けてある。硫黄原子が金属イオンを強くつかまえる性質を使う設計で、周りが水か溶剤か
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再生プラの品質のばらつきをAIで先読みする、日立らが内閣府SIPで選別の仕組みづくりへ
再生プラスチックが使われにくい理由の多くは、性能そのものよりも性能の読めなさにある。同じ回収ロットでも強度や流れ方がそろわないと、成形条件を決められず設計にも織り込めない。日立製作所が内閣府SIP第3期で取り組むのは、この「ばらつきの見えなさ」を測る側から埋める研究である。 開発するのは2つのAIである。品質評価AIは、製造ラインに付いているセンサーのデータから品質のばらつきを予測する。材料を作りながら、出てくるものの性質を推し量る使い方になる。劣化診断AIのほうは材料分析のデータを入力とし、劣化がどの段階にあるか、品質の変動が何に起因するかを解析する。この2つの結果をもとに再生材を分類し、用途に見合うものを振り分ける仕組みまでを含めて構想している。評価する物性は強度、流動性、劣化状態の3つである。 進め方は段階的で、2026年度から2027年度にかけて品質評価AIを開発して精度を検証し、
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ガラス繊維入りのPPS廃材から樹脂だけを溶かして取り出す、東レがモノマー分解を挟まない回収法を開発
PPSは耐熱性と寸法安定性に優れ、自動車のエンジン周辺や電気電子部品に使われるスーパーエンプラである。ただし実際の部品はガラス繊維で強化されていることが多く、廃材から樹脂だけを取り出すのが難しい。東レが開発したのは、この分離をモノマーへの分解を経ずに行う手法である。 工程の要点は選択的な溶解と晶析にある。溶媒でPPSだけを溶かし、その後に結晶として析出させる。ガラス繊維などの異物は溶けないため、この過程で分離・除去される。分子を一度モノマーまで壊してから再重合する化学リサイクルとは異なり、高分子の状態を保ったまま取り出すため、回収したPPSは廃材由来でありながら分子量と融点がバージン材と同等に維持されるという。東レは長年のPPS製造で蓄えた知見を使ったと説明している。 環境負荷については、原料製造から製品製造までのGHG排出量を約3割低減できる可能性を確認したとしている。分解と再重合の工程
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刈り捨てられるガマを活性炭に、同志社大が染料を同時吸着する銅担持材を1工程で作製
染色や製紙、皮革、食品加工の排水には合成染料が混じる。これを取り除く吸着材として、同志社大学の Asif Ali 氏、松本道明教授、田原義朗教授らが目を付けたのは、水辺で刈り取られたまま使い道のないガマだった。 手法の要点は工程を増やさないことにある。通常、活性炭に金属を担わせようとすると、炭化した後に金属塩を含浸させ、さらに還元剤で金属まで戻す段取りが要る。今回は硝酸銅(II)三水和物と水酸化カリウムをガマに混ぜ、一度に熱分解する。植物由来のバイオマスは熱分解の過程で一酸化炭素と水素を放出するため、これが還元剤として働き、細孔の中で金属銅のナノ粒子がその場で育つ。外から還元剤を持ち込む必要がない。研究グループはこの材料を ZVCu@BAC と呼んでいる。 性能は比表面積984.5 m²/g、細孔容積0.615 cm³/gで、吸着容量はメチレンブルーで62.31 mg/g、メチルオレンジで
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廃棄メタンを3Dプリント担体で化学品に、液相反応器の10倍超の性能
埋立地や下水処理場からはメタンが出る。温室効果はCO2の数十倍で、集めて燃やすか、発電に使うのが一般的な扱いになる。ただし燃やせばそれで終わりで、炭素としての価値は残らない。微生物にメタンを食べさせて化学品に変える道もあるが、ここには物理的な壁がある。メタンは水に溶けにくい。 従来の方式では、タンクに液体を張って微生物を浮かべ、そこへガスを吹き込んで撹拌する。溶けにくい気体を無理やり液に溶かすため、撹拌に電力を食う。溶けた分しか反応に使えないので効率も上がらない。 米ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)のファン・チエン氏らの研究グループは、この前提を外した。3Dプリントで格子状の担体をつくり、その薄い壁の中にヒドロゲルとともに微生物を保持する。ガスは液に溶かすのではなく、担体を通り抜けて流れる。微生物は壁の中にいるので、ガスとの接触面が構造としてつくられる。 結果として、従来の液相シ
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廃棄アイスクリームから脂肪を95%回収、遠心分離だけで採算が合う
アイスクリームの工場では、作った量のすべてが製品になるわけではない。品質が基準に届かない分、設備を洗浄するときに流れる分、アレルゲンの混入を防ぐために切り替え時に捨てる分がある。合わせると原料のおよそ5%が廃棄物になる。乳脂肪と糖と乳固形分の塊なので、栄養としては豊富なまま捨てられている。 米ペンシルベニア州立大学農学部の研究グループは、ここから脂肪を取り出す方法を比べた。試したのは酵素で分解する方法(プロテオリシス)と、pHを動かして分離させる方法である。乳製品から脂肪を分けるには、タンパク質が作る乳化の構造を壊す必要があるため、どちらも理屈としては妥当な選択にあたる。 ところが最も効果が高かったのは、何も処理せず遠心分離にかけるだけの対照区だった。脂肪の約95%を回収し、しかも純度は元の廃棄物より上がっていた。手を加えるほうがよいという前提が外れた形になる。 現場にとっては都合がよい結
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解体コンクリートの再生骨材で坑廃水を中和、石灰石を上回る場面も
閉山した鉱山からは、長く水が出続ける。採掘で硫黄を含む岩石が空気と水に触れると硫酸ができ、それが鉄やアルミニウム、マンガンを溶かし出す。坑廃水と呼ばれるこの水は強い酸性で、流れ込んだ川の生き物を減らす。ペンシルベニア州では5,000マイルを超える河川が汚染に直面している。処理には石灰石を使ってpHを上げる方法が一般的だが、採掘が終わったあとも延々と続くため、費用が積み上がる。 米ペンシルベニア州立大学のナサニエル・ワーナー准教授と、同校出身でジュニアータ大学のアリソン・フェンスケ氏らの研究グループが試したのは、この石灰石を解体コンクリートの再生骨材(RCA)で置き換える案である。コンクリートはセメント由来のアルカリ分を含むため、水に入れればpHを上げる働きをする。 試験の結果、RCAは酸性度の低減が最も大きく、石灰石を上回る場面もあった。RCA自身からも微量の金属が溶け出したが、その量は石
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分解できないとされた車・建材向け樹脂を溶かす、繊維も無傷で回収
ポリジシクロペンタジエン(pDCPD)は、車両の外装部品や建材に使われる樹脂である。丈夫で衝撃に強く、繊維で補強して構造材としても使う。その丈夫さが処理の段では裏目に出る。この材料は長く存在してきたが、熱力学的に安定しすぎていて分解できない、というのが通説だった。 結果として使用済みの製品は焼却に回る。焼却には多くのエネルギーが要り、有害な副生成物が出る。さらに、中に入っている炭素繊維やガラス繊維も熱で劣化する。繊維は製造にエネルギーを要する高価な材料なので、これが失われる損失も小さくない。 米テキサス大学オースティン校のザック・ペイジ准教授と大学院生のケルディ・メイソン氏、サンディア国立研究所の研究グループが報告したのは、この樹脂を溶かして戻す手法である。環境負荷の低い溶媒とルテニウムを含む触媒の溶液に製品を入れ、撹拌する。それだけで分解が進む。 要する時間は製品の大きさ次第で、数時間か
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水を使わず廃プラを建材に、MIT発の企業が1,800kg支える梁を3Dプリント
プラスチックの機械的なリサイクルでは、まず洗う。容器には中身の残りや汚れが付いており、そのまま溶かすと品質が落ちるためである。この洗浄工程は水と、その後の排水処理を必要とする。水が乏しい地域では、この一点がリサイクルを成り立たせない理由になる。 米マサチューセッツ工科大学(MIT)発の企業Atlasが取った道は、洗浄を前提から外すことだった。使い捨てプラスチックを粉砕して溶かし、米国製のガラス繊維と融合させる。そのうえで大型の3Dプリントシステムに送り、部材として出力する。共同創業者でMITの研究員でもあるA.J.ペレス氏は、水へのアクセスに関係なく、どの国でもプラスチックに手を打てるようになると述べている。 ガラス繊維を混ぜる点が効いている。再生プラスチックは元の樹脂より物性が落ちるが、繊維で補強すれば構造材として使える強度が出る。汚れの混入が多少あっても、繊維が支える設計なら許容できる
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PFAS廃棄物に電気パルス、フッ素の99.9%超を回収してフッ化銀に
PFAS(有機フッ素化合物)は分解されにくい性質から「永遠の化学物質」と呼ばれ、各国で規制の対象になっている。処理の議論はもっぱら「どう壊すか」に向かうが、別の見方もできる。PFAS が分解されにくいのは炭素とフッ素の結合が強いからで、裏を返せばフッ素という有用な元素がそこに集まっているということでもある。 米ライス大学のジェームズ・トゥアー教授らの研究グループが報告したのは、この見方に沿った手法である。壊すだけでなく、含まれるフッ素を使える形で取り出す。 方法は短い電気パルスを流して、材料を数百度まで急速に加熱するというものである。同研究室が手がけてきたフラッシュ加熱の系列にあたる。ここで生じたフッ化物を銀と反応させ、フッ化銀として回収する。報告によれば、PFAS中のフッ化物の99.9%超を取り出し、そのうち90%をフッ化銀として集めることができた。 回収物に価値がある点がこの手法の要点
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近赤外線で見えなかった黒色プラを中赤外線で識別、粗破砕の段階で選別
プラスチックの光学選別は近赤外線(NIR)を当てて、跳ね返ってくる光のスペクトルから樹脂の種類を読む。この方法には長らく穴があった。黒色のプラスチックが判別できない。着色に使われるカーボンブラックが可視光と近赤外線の大半を吸収してしまうため、機械の目に何も返らない。 黒は家電の筐体、自動車部品、パレットなど工業製品で広く使われる色である。選別できないものは混合の廃プラとして低い用途に回るか、燃やされる。分別の技術が進んでも、この一群だけが取り残されてきた。 独Sesotecが開発した「VARISORT+ CARBON BLACK」は、当てる光の波長を変えることでこの穴を埋めにいく。使うのは中波長赤外線(MWIR)で、近赤外線より波長の長い領域にあたる。カーボンブラックを含む樹脂でも材料固有のスペクトルが得られるため、そこから種類を判定する。解析には同社が蓄積してきたスペクトル解析の知見とA
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透明容器のPETとPSをテラヘルツ波で見分ける、選別しやすい形を設計
弁当や惣菜の透明な容器は、素材がポリエチレンテレフタレート(PET)のこともポリスチレン(PS)のこともある。どちらも透明で、見た目では区別がつかない。再生の工程では樹脂が混ざると品質が落ちるため、この見分けがつかないことが選別の精度を頭打ちにしてきた。 芝浦工業大学デザイン工学部の研究グループが取り組んだのは、この識別である。使うのはテラヘルツ波で、電波と光の中間にあたる周波数帯にある。物質を透過する際の特性が樹脂ごとに違うため、透過させて測れば種類がわかる。回収施設の自動選別の工程に組み込むことを想定している。 この報告の要点は、測定手法そのものよりも、測りやすい容器を設計した点にある。テラヘルツ波で安定して読むには、波が通る場所が平坦で厚みが揃っている必要がある。容器はふつう、強度や機能のために曲面や凹凸を持つ。研究グループが試作した容器は、中央に平坦な計測領域を設けたうえで、底面に
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安価な青色顔料でCO2を一段でメタンに、ファラデー効率79.5%
二酸化炭素を電気で還元して燃料に戻す研究では、銅が長く主役だった。炭素どうしをつなぐ働きを持つ数少ない金属だからである。ただし銅には難点がある。反応が一つの生成物に収束せず、メタン、エチレン、エタノール、一酸化炭素などが混ざって出てしまう。分離の手間が増えれば、その分だけ実用から遠のく。 東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の藪浩教授らの研究グループが選んだのは、銅フタロシアニンである。青色顔料として印刷インキや塗料に広く使われている化合物で、安価かつ入手しやすい。銅原子が有機分子の環に組み込まれた構造を持ち、金属としての銅とは反応の挙動が異なる。 報告された性能は次のとおりである。ファラデー効率は最大79.5%に達した。流した電子のうち約8割がメタンの生成に使われた計算になる。電流密度は最大575mA/cm²で、これは単位面積あたりの処理量にあたる。150mA/cm²の条件では
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超音波と水の微小液滴でリグニンを有用分子に、触媒も加熱も使わず20分
木材からパルプを取り出すとき、繊維をつなぎとめていたリグニンは邪魔者として分離される。クラフト法で出るこのクラフトリグニンは、パルプ・製紙の副産物として年5000万トンを超える量が生じる。多くは工場のボイラー燃料として燃やされる。分子としては芳香環を豊富に含み、化学品の原料になりうる素性を持つが、構造が複雑で不揃いなため、狙った分子に変えるのが難しい。 米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のホアキン・ロドリゲス=ロペス教授と大学院生のスプリヤ・ダス氏らの研究グループは、このリグニンを酸化還元活性のある低分子に変える手法を報告した。生成物は「SEMILL-A」と名付けられている。 使うのは、油と水を超音波で乳化させた微小液滴である。液滴の界面では活性酸素種が生じ、これがリグニンを切断する働きをする。外部から触媒を加える必要がなく、加熱も要らない。実際に必要な材料は油、水、リグニン、酸の4つ
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リサイクルが難しいPVCをエンジンオイルの基油に、70℃・3時間で変換
ポリ塩化ビニル(PVC)は配管や建材、床材に広く使われている一方で、リサイクルの対象としては扱いにくい部類に入る。分子に塩素が組み込まれているため、単純に加熱すると塩化水素が出る。加えて、可塑剤や安定剤といった添加剤が製造方法ごとに違い、集めても中身が揃わない。結果として、相当量が埋め立てに回ってきた。 米バージニア工科大学のグオリャン・リュウ教授らの研究グループは、このPVCを潤滑油の原料に変える手法を報告した。狙う生成物はポリアルファオレフィン(PAO)である。エンジンオイルをはじめとする高性能潤滑油の基油に使われる合成油で、鉱油系より温度による粘度変化が小さい。 手順は比較的単純である。PVCを溶媒に入れ、塩化アルミニウムとアルファオレフィンを加えたうえで、158°F(70℃)で3時間加熱する。その後、溶媒から粘度の高い油分を取り出す。塩化アルミニウムはフリーデル・クラフツ反応などで
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難燃剤入りEV用複合材をリサイクル可能に、韓国KRICTが添加剤の9割超を除去
電気自動車の部材には軽さと難燃性の両方が求められる。バッテリー周りの部品には燃え広がりにくさが要るし、車体が重くなれば航続距離が落ちる。この二つを満たすために繊維強化複合材に難燃剤を混ぜたものが使われてきたが、処理の段になると困る。熱硬化性の複合材は一度固まると加熱しても溶けず、埋め立てるか燃やすかしかない。 韓国化学研究院(KRICT)のキム・ジンチョル博士、チョン・ジウン博士、チン・ヨンジェ博士らの研究グループは、この構造を組み替えた。使ったのは高密度ポリエチレン(HDPE)の繊維とフィルムを積み重ねる自己強化型複合材である。繊維も母材も同じ樹脂なので、原理的には全体を溶かして再生できる。 問題は、同じ樹脂どうしだと層の接着が弱いことと、難燃剤が偏りやすいことだった。研究グループは低分子量のポリオレフィン系添加剤を加えることで、この二つに同時に対処している。添加剤は繊維とフィルムの界面
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解体コンクリートの再生骨材、2割までの置換なら構造用の強度を保てると確認
コンクリートの体積の大部分は骨材が占める。建物を壊せば大量のコンクリート塊が出るため、これを砕いて骨材に戻せれば資源としては筋がよい。ただし再生骨材は元のセメント分が付着していて吸水しやすく、強度や耐久性が落ちるとされてきた。どこまでなら置き換えられるのかが、実務上の焦点になる。 ESPOLとサリー大学の研究グループは、試験済みのコンクリート供試体を破砕して再生骨材をつくり、天然の粗骨材と置き換える配合を試した。使ったのは再生コンクリート骨材(RCA)と、他の建材が混ざった混合再生骨材(MRA)の2種類である。置換率は10%、20%、30%の3水準を設けた。 結果は配合の強度帯によって分かれた。通常のコンクリートでは、10〜20%の置換で圧縮強度が維持されるか、わずかに向上した。高強度コンクリートでは10〜20%で軽微な低下にとどまったが、30%まで上げると大きな強度低下が生じた。混合再生
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発酵工場の排水から窒素を回収、産総研らが溶存酸素を絞る運転条件を見いだす
排水に含まれる窒素は、これまで「取り除くもの」として扱われてきた。活性汚泥を使う一般的な処理では、微生物の働きで窒素化合物を段階的に分解し、最終的に窒素ガスとして大気へ逃がす。この過程には空気を送り込む曝気が欠かせず、処理場の電力消費の大きな部分を占めてきた。 産業技術総合研究所の籾内健吾氏らの研究グループが着目したのは、この分解を途中で止められないかという点である。キリンホールディングス、東京農工大学、京都大学と共同で進めた研究では、活性汚泥を低い溶存酸素と低いpHの条件下に置いた。すると汚泥中の微生物群の構成が変化し、窒素を除去する経路ではなく回収する経路へ傾く。分解はアンモニウムイオンの段階で止まり、窒素ガスまで進まない。 対象としたのは、発酵産業から出る低濃度の窒素化合物を含む排水である。研究グループはこの運転条件を「微好気活性汚泥法」と呼んでいる。曝気を抑えられるぶん処理に要する
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植物廃材のリグニンを穏やかな条件で芳香族化合物へ、単原子触媒の作用点を特定
リグニンは木質や農業残渣に含まれる高分子で、廃棄バイオマスの最大35%を占める。芳香環を骨格に持つため、化学品の原料としては本来価値が高い。ただし構造が複雑で結合が強く、目的の化合物だけを取り出すには厳しい反応条件や大量の触媒が必要になり、その費用が実用化を阻んできた。 マンチェスター大学の研究グループが用いたのは単原子触媒である。窒素をドープした炭素材料の中にルテニウム原子を一つずつ分散させて埋め込む構造で、金属をまとめて使う従来の触媒に比べて必要量が大幅に少なくて済む。反応も比較的穏やかな条件で進み、強い薬品を使わない。 研究の核心は、どの原子配置が反応を担っているかを特定した点にある。ルテニウム原子が4つの窒素原子と結びついた「Ru-N4サイト」が酸素を活性化し、リグニンの炭素-酸素結合と炭素-炭素結合の切断を引き起こす。この対応関係が分かれば、触媒の設計を当てずっぽうではなく狙って
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帝人が自己修復する熱硬化性CFRPを開発、薬液で樹脂を分解して再生も可能に
炭素繊維に熱硬化性樹脂を染み込ませたCFRPは、軽くて強いという性質から航空機や自動車、スポーツ用品に広く使われてきた。ただし熱硬化性の樹脂は一度固まると溶けない。加熱しても流動しないため再成形ができず、使用後の材料は焼却や埋め立てに回る割合が高かった。 帝人が開発した材料は、この前提を変えるものである。所定の温度で短時間加熱すると、損傷した樹脂層が修復される。傷や割れが入った部材をそのまま使い続けられれば、交換の頻度が下がり、廃棄物の発生自体が減ることになる。 使用後の扱いも二通り用意されている。ひとつは再成形で、成形後も所定の温度域では流動性を示すため、圧縮成形などによってもう一度部材にできる。もうひとつは化学的な分離で、特定の薬液に浸すと樹脂を分解できる。従来の熱硬化性CFRPから炭素繊維を取り出すには、400度を超える高温炉で長時間かけて樹脂を燃焼分解する必要があった。薬液による分
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航空機の炭素繊維廃材をエアロゲルに、シンガポール国立大が断熱・吸音材へ転用
炭素繊維とエポキシ樹脂を組み合わせた複合材は、航空機の機体や風力発電のブレード、自動車部品、船舶に使われている。強度と軽さを両立する一方、樹脂が硬化して固まっているため繊維だけを取り出すのが難しく、退役した機体やブレードから出る廃材の処理先が課題として残ってきた。 シンガポール国立大学機械工学科のDuong Hai Minh准教授らの研究グループが取った方法は、繊維を元の形で回収することを目指さない点に特徴がある。廃材を機械的に処理して細かい粉末と短い繊維の断片が混ざった状態にし、カルボキシメチルセルロースを結合剤として加えたうえで凍結乾燥する。こうして多孔質のエアロゲル構造をつくる。 できあがった材料は複数の性質を備える。熱伝導率が低いため軽量構造物の断熱材として使え、吸音性もあることから騒音対策の材料になりうる。さらに疎水処理を施すと油を吸収するようになり、油流出事故の処理や油水分離へ
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アルミ切粉や廃部品から金属フォームへ、独フラウンホーファーが再生経路を開発
アルミの金属フォームは、内部に多数の気孔を持つ多孔質材料である。軽さの割に剛性が高く、衝撃を吸収する性質があるため、自動車の構造部材や機械の制振部品に使われる。ただし製造には粒径のそろった粉末状の原料が必要で、その原料をどこから得るかがコストを左右してきた。 フラウンホーファー工作機械・成形技術研究所の金属フォームグループは、この原料を新品の粉末ではなく廃材から得る経路を組み立てた。対象は、切削加工で出るアルミ切粉、工程内で生じるスクラップ、そして使用を終えた材料である。使用済み材料には箔やコイル、自動車のホイール材が含まれ、回収したアルミ発泡材そのものも原料に戻せるとしている。 処理は多段の機械工程からなる。切断、破砕、粉砕、ふるい分けを重ねて、発泡に適した粒径に整える。研究グループはこれと並行して、素材をいったん完全に溶かし直すことなく既存の構造を保ったまま再生する固相リサイクルの手法
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電子廃棄物からの金回収、電気で制御する新分子で薬剤使用を最大100分の1に
電子廃棄物や鉱山廃水、工業廃液から有価金属を取り出す工程では、通常、大量の化学薬剤が必要になる。広く使われる溶媒抽出法では、金属を捕まえるための薬剤に加えて酸化還元反応を起こすための薬剤も投入するため、処理後には薬剤由来の廃液が残る。 イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のXiao Su教授らは、この薬剤依存を減らすため、3つの機能を1つに統合した分子を設計した。金属イオンを選択的に結合する部位、永続的な電荷、そして有機相に溶ける性質である。分子自体が電解質として振る舞うため、酸化還元反応を薬剤ではなく電流で直接制御できる。研究グループは、この仕組みによって薬剤の消費量が1桁から2桁下がると説明している。 実証は電子廃棄物の浸出液からの金回収で行われ、成果は学術誌ACS Energy Lettersに掲載された。ただし現時点では実験室での実証にとどまり、工業規模での利用にはスケールアップが
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製紙の副産物リグニンを農業資材に、中国の研究チームが用途と課題を整理
リグニンは、パルプを製造する際に大量に生じる副産物である。木質から繊維を取り出す工程で分離されるが、用途が限られるため燃焼して熱源にするか、そのまま処分される割合が高い。今回の総説は、この物質を農業の現場で使う研究がどこまで進んだのかを、応用先ごとに整理したものである。 研究グループが着目するのは、リグニンが持つフェノール性と脂肪族の水酸基、芳香族の骨格、そして抗酸化性や紫外線遮蔽、抗菌性といった機能である。分解の速さを設計で調整できる点も、農業資材としては扱いやすい性質にあたる。整理された用途は、養分の流出を抑える徐放性肥料の被膜、保水性や金属の捕捉を担うヒドロゲル状の土壌改良材、農薬を包み込んで条件に応じて放出する仕組み、そして紫外線を遮り土中で分解するマルチフィルムや種子コーティングの4分野である。 一方で、実用化の条件は厳しいと整理されている。リグニンは由来する原料によって組成が大