溶剤に溶けた鉛を99%以上つかまえる改質セルロース、金沢大が太陽電池の再生廃液で確認
金沢大学の研究グループが、福島大学およびダイセルと共同で、有機溶剤に溶けた鉛を取り除くセルロース系の吸着材「DPE6」を開発した。ペロブスカイト型太陽電池を再生する工程では鉛を含む溶剤の廃液が出るが、従来の金属回収技術は水を前提としており、溶剤が混ざると働きが落ちる。DPE6はメタノール系の廃液から鉛を99%以上、DMF系の廃液から約91%取り除き、10分以内に吸着が平衡に達した。成果は ACS Applied Materials & Interfaces に掲載された。
この記事の要点
- ペロブスカイト型太陽電池は鉛を含み、再生の工程では鉛が有機溶剤に溶けた廃液が出る
- 従来の金属回収技術は水溶液を前提にしており、有機溶剤が混ざると性能が落ちて処理が難しかった
- 金沢大らはセルロースにジチオカルバミン酸基を付けた吸着材 DPE6 を作り、硫黄原子で金属イオンをつかまえる設計にした
- メタノール系の廃液から鉛を99%以上、DMF系から約91%除去し、10分以内に吸着が平衡に達した
- 金沢大学とダイセルが共同で特許を出願しており、電池や電子部品の廃液への応用も見込む
ペロブスカイト型太陽電池は、薄く軽く作れることから次の世代の太陽電池として期待されているが、材料に鉛を含む。使い終わった電池を再生しようとすると、この鉛が溶剤に溶けた廃液が出る。鉛をそのまま流せないため、回収する手立てが要る。
ところが、既存の金属回収技術はほとんどが水溶液を相手にするよう作られている。吸着材は水の中で働くことを前提に設計されており、メタノールやN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)といった有機溶剤が主成分になると、金属をつかまえる力が落ちる。再生の工程で実際に出てくるのは、まさにその溶剤を含む廃液である。
金沢大学の研究グループは、福島大学および株式会社ダイセルと共同で、この条件で働く吸着材「DPE6」を開発した。土台にしたのはセルロースで、そこにジチオカルバミン酸基という硫黄を含む官能基を付けてある。硫黄原子が金属イオンを強くつかまえる性質を使う設計で、周りが水か溶剤かに左右されにくい結びつき方を選んだことになる。
性能は廃液の種類によって差が出た。メタノールを主とする廃液からは鉛を99%以上取り除き、DMFを主とする廃液からは約91%だった。いずれも吸着が平衡に達するまで10分以内で、純粋なメタノールとDMFのどちらでも高い最大吸着量を示している。成果は学術誌 ACS Applied Materials & Interfaces に掲載された。金沢大学とダイセルは共同で特許を出願しており、太陽電池に限らず、電池や電子部品の製造・再生で出る溶剤系の廃液への応用も視野に入れている。
| 主体 | 金沢大学(大学・研究機関) |
|---|---|
| 情報の種類 | 研究発表 |
| 本サイト掲載日 | 2026年10月7日 |
| 地域 | 日本 |
| 公開日 | 2026年10月 のアーカイブ |