廃棄アイスクリームから脂肪を95%回収、遠心分離だけで採算が合う
米ペンシルベニア州立大学農学部の研究グループが、廃棄されるアイスクリームから脂肪を回収する手法を調べた。アイスクリームの製造では原料のおよそ5%が廃棄物になる。品質不良、設備の洗浄、アレルゲンの混入防止が理由である。酵素処理とpH調整を試したが、最も効果が高かったのは何も処理せず遠心分離にかけるだけの対照区だった。脂肪の約95%を回収し、純度も元の廃棄物より上がった。回収した脂肪の最低販売価格は1キログラムあたり約0.40ドルと見積もられる。用途としては飼料用の豚脂の代替や、医薬品・化粧品への転用が挙げられている。
この記事の要点
- アイスクリーム製造では原料のおよそ5%が廃棄物になる
- 酵素処理やpH調整より、無処理で遠心分離するだけの方が効果が高かった
- 脂肪の約95%を回収し、純度も元の廃棄物より上がった
- 回収した脂肪の最低販売価格は1キログラムあたり約0.40ドルと見積もられる
- 試験は1バッチ約90ポンド(41キログラム)、脂肪分1.8〜10.3%で実施した
アイスクリームの工場では、作った量のすべてが製品になるわけではない。品質が基準に届かない分、設備を洗浄するときに流れる分、アレルゲンの混入を防ぐために切り替え時に捨てる分がある。合わせると原料のおよそ5%が廃棄物になる。乳脂肪と糖と乳固形分の塊なので、栄養としては豊富なまま捨てられている。
米ペンシルベニア州立大学農学部の研究グループは、ここから脂肪を取り出す方法を比べた。試したのは酵素で分解する方法(プロテオリシス)と、pHを動かして分離させる方法である。乳製品から脂肪を分けるには、タンパク質が作る乳化の構造を壊す必要があるため、どちらも理屈としては妥当な選択にあたる。
ところが最も効果が高かったのは、何も処理せず遠心分離にかけるだけの対照区だった。脂肪の約95%を回収し、しかも純度は元の廃棄物より上がっていた。手を加えるほうがよいという前提が外れた形になる。
現場にとっては都合がよい結果でもある。酵素もpH調整の薬剤も要らず、遠心分離機は乳業の工場にすでにある設備である。導入の障壁が下がる。
採算も試算されている。回収した脂肪の最低販売価格は1キログラムあたり約0.40ドル。廃棄物に含まれる脂肪分が多いほど、また規模が大きいほど収益性は上がるという。用途としては、飼料に使われる豚由来の脂(チョイス・ホワイト・グリース)の代替や、医薬品・化粧品への転用が挙げられている。
試験はペリーズ・アイスクリーム社の設備で、1バッチ約90ポンド(41キログラム)、脂肪分1.8〜10.3%の範囲で実施された。工場の規模から見れば小さいが、実際の製造廃棄物を使っている点が実験室の模擬品とは異なる。成果は学術誌Cleaner Engineering and Technologyに掲載された。
| 主体 | ペンシルベニア州立大学(大学・研究機関) |
|---|---|
| 情報の種類 | 研究発表 |
| 本サイト掲載日 | 2026年9月24日 |
| 地域 | 海外(US) |
| 公開日 | 2026年9月 のアーカイブ |