航空機の炭素繊維廃材をエアロゲルに、シンガポール国立大が断熱・吸音材へ転用
シンガポール国立大学(NUS)機械工学科の研究グループが、航空機などから出る炭素繊維とエポキシの複合材廃材をエアロゲルに作り変える手法を開発した。廃材を機械的に細かい粉末と短繊維の混合物にし、カルボキシメチルセルロースを結合剤として混ぜたうえで凍結乾燥する。得られたエアロゲルは熱伝導率が低く、吸音性も持つ。成果は学術誌Waste Managementに2026年6月29日付で掲載された。
この記事の要点
- 対象となる廃材の出どころは航空宇宙、風力発電、自動車、船舶の各分野
- 疎水処理を施すと油を吸収する性質が加わり、油流出事故の処理や油水分離に使える
- 線維芽細胞を用いた試験条件では毒性が認められなかった
- 論文には定量的な性能値の記載がなく、研究グループは産業界との連携によるスケールアップと環境・経済性の評価を次の段階に置いている
炭素繊維とエポキシ樹脂を組み合わせた複合材は、航空機の機体や風力発電のブレード、自動車部品、船舶に使われている。強度と軽さを両立する一方、樹脂が硬化して固まっているため繊維だけを取り出すのが難しく、退役した機体やブレードから出る廃材の処理先が課題として残ってきた。
シンガポール国立大学機械工学科のDuong Hai Minh准教授らの研究グループが取った方法は、繊維を元の形で回収することを目指さない点に特徴がある。廃材を機械的に処理して細かい粉末と短い繊維の断片が混ざった状態にし、カルボキシメチルセルロースを結合剤として加えたうえで凍結乾燥する。こうして多孔質のエアロゲル構造をつくる。
できあがった材料は複数の性質を備える。熱伝導率が低いため軽量構造物の断熱材として使え、吸音性もあることから騒音対策の材料になりうる。さらに疎水処理を施すと油を吸収するようになり、油流出事故の処理や油水分離への適用が考えられる。線維芽細胞を用いた試験の条件下では毒性が認められなかったとしている。
成果は学術誌Waste Managementに2026年6月29日付で掲載された。ただし記事の範囲では、熱伝導率や吸音率、吸油量といった定量的な性能値は示されていない。研究グループは航空宇宙、材料、製造、廃棄物処理の各分野との連携を求めており、技術のスケールアップと、環境面・経済面の評価を進めたうえで産業への展開を目指すとしている。
| 主体 | シンガポール国立大学(National University of Singapore)(大学・研究機関) |
|---|---|
| 情報の種類 | 研究発表 |
| 本サイト掲載日 | 2026年8月26日 |
| 地域 | 海外(SG) |
| 公開日 | 2026年8月 のアーカイブ |