解体コンクリートを製鋼用の電気炉でセメントに戻す、英Reclinkerが1,000万ポンドを調達
英ウェールズ・カーディフの Reclinker が、解体で出たコンクリートをセメントの主成分クリンカーに戻す技術の事業化に向け、1,000万ポンドのシリーズA資金を調達した。鉄スクラップを溶かす製鋼用の電気炉にそのまま投入する方式で、専用のキルンも石灰石の採掘も化石燃料の熱も要らない。排出量は従来のセメントに比べてただちに5割減り、価格は同等になるとしている。カーディフの 7 Steel UK の工場で工業規模の実証を重ね、すでに最初の商業販売に至った。年産12万トンを目標に生産を広げる。
この記事の要点
- セメントは世界のCO2排出のおよそ7%を占め、その大半は石灰石を焼く反応と化石燃料の熱から出る
- Reclinker は解体コンクリートからセメント分を取り出し、鉄スクラップを溶かす電気炉の中でクリンカーに戻す
- キルンも石灰石の採掘も化石燃料の熱も使わないため、排出量はただちに約50%減り、価格は従来品と同等になる
- カーディフの 7 Steel UK の工場で工業規模の実証を重ね、数千トンを生産して最初の商業販売に至った
- Clean Growth Fund と AP Ventures が主導する1,000万ポンドで、カーディフの年産12万トンを目指す
セメントが出すCO2は、世界全体のおよそ7%にあたる。厄介なのは、その大半が燃料の話に収まらない点にある。原料の石灰石を焼くと、熱とは無関係に石灰石そのものからCO2が抜けていく。クリンカーと呼ばれるセメントの主成分を作る工程では、排出の53%がこの反応に由来し、35%が化石燃料の熱に由来するとされる。燃料を替えても半分以上が残る構造になっている。
英ウェールズ・カーディフの Reclinker は、この工程自体を回避する方法を採った。解体で出たコンクリートからセメント分を取り出し、鉄スクラップを溶かすために各地の製鋼所がすでに持っている電気炉へ投入する。炉の中でクリンカーに戻るため、専用のキルンも、採掘した石灰石も、化石燃料の熱も要らない。原料はすでに一度焼かれた材料なので、石灰石から出るはずのCO2もそこにはない。同社は排出量が従来のセメントに比べてただちに約50%減り、規模を広げればさらに下がるとしている。価格は従来品と同等になるという。
技術はケンブリッジ大学で生まれ、学術誌 Nature に掲載された。カーディフにある 7 Steel UK の工場で工業規模の実証を重ね、数千トンを生産したうえで最初の商業販売にこぎつけている。実験室ではなく実際の製鋼炉で成立することを確かめた段階にある。
同社は2026年10月5日、この事業を広げるための1,000万ポンドのシリーズA資金の調達を発表した。Clean Growth Fund と AP Ventures が主導し、ウェールズ開発銀行、Zero Carbon Capital、Kibo Invest、Cambridge Enterprise が加わった。当面はカーディフでの年産12万トンを目標とし、その後は欧州と米国にある他の電気炉の設備へ同じ方式を広げる構えである。
| 主体 | Reclinker(企業) |
|---|---|
| 情報の種類 | プレスリリース |
| 本サイト掲載日 | 2026年10月7日 |
| 地域 | 海外(GB) |
| 公開日 | 2026年10月 のアーカイブ |