PFAS廃棄物に電気パルス、フッ素の99.9%超を回収してフッ化銀に
米ライス大学のジェームズ・トゥアー教授らの研究グループが、短い電気パルスでPFAS廃棄物を数百度まで急速に加熱し、含まれるフッ素をフッ化銀として回収する手法を報告した。PFAS中のフッ化物の99.9%超を取り出し、そのうち90%をフッ化銀として回収できたという。フッ素は医薬品や農薬、先端材料に使われる有用な元素で、フッ化銀は有機化合物にフッ素を導入する試薬として用いられる。生成したフッ化銀が炭素の還元環境で金属銀に戻ってしまう問題は、多孔質の石英繊維の隔壁を設けることで解決した。成果は学術誌Nature Chemical Engineeringに掲載された。
この記事の要点
- 短い電気パルスでPFAS廃棄物を数百度まで急速に加熱する
- PFAS中のフッ化物の99.9%超を取り出し、うち90%をフッ化銀として回収した
- フッ素は医薬品・農薬・先端材料に使われ、フッ化銀はフッ素導入の試薬になる
- 生成したフッ化銀が金属銀に戻る問題は、多孔質の石英繊維の隔壁で解決した
- 実験室での検証段階で、処理量やエネルギー消費の数値は示されていない
PFAS(有機フッ素化合物)は分解されにくい性質から「永遠の化学物質」と呼ばれ、各国で規制の対象になっている。処理の議論はもっぱら「どう壊すか」に向かうが、別の見方もできる。PFAS が分解されにくいのは炭素とフッ素の結合が強いからで、裏を返せばフッ素という有用な元素がそこに集まっているということでもある。
米ライス大学のジェームズ・トゥアー教授らの研究グループが報告したのは、この見方に沿った手法である。壊すだけでなく、含まれるフッ素を使える形で取り出す。
方法は短い電気パルスを流して、材料を数百度まで急速に加熱するというものである。同研究室が手がけてきたフラッシュ加熱の系列にあたる。ここで生じたフッ化物を銀と反応させ、フッ化銀として回収する。報告によれば、PFAS中のフッ化物の99.9%超を取り出し、そのうち90%をフッ化銀として集めることができた。
回収物に価値がある点がこの手法の要点になる。フッ素は医薬品、農薬、先端材料に使われる元素で、フッ化銀は有機化合物にフッ素を導入する試薬として用いられる。処理費用を負担する側から見れば、出てくるものに売り先があるかどうかで成立のしやすさが変わる。
技術的な難所として挙げられているのは、生成したフッ化銀が周囲の炭素による還元環境で金属銀に戻ってしまう現象だった。研究グループは多孔質の石英繊維の隔壁を設けることでこれを防いでいる。
検証は実験室の規模で行われており、処理量、生産規模、エネルギー消費に関する数値は示されていない。成果は学術誌Nature Chemical Engineeringに掲載された(DOI 10.1038/s44286-026-00442-8)。
| 主体 | ライス大学(大学・研究機関) |
|---|---|
| 情報の種類 | 研究発表 |
| 本サイト掲載日 | 2026年9月14日 |
| 地域 | 海外(US) |
| 公開日 | 2026年9月 のアーカイブ |