透明容器のPETとPSをテラヘルツ波で見分ける、選別しやすい形を設計
芝浦工業大学デザイン工学部の研究グループが、テラヘルツ波で食品容器の樹脂種類を見分ける手法と、それに適した容器の設計を報告した。透明なポリエチレンテレフタレート(PET)とポリスチレン(PS)は見た目で区別しにくく、選別の精度が上がらない。テラヘルツ波は容器を透過する際の特性が樹脂ごとに異なるため、これを回収施設の自動選別で読む。試作した容器は中央に平坦な計測領域を設け、底面に三角形の模様を入れることで、安定した識別と、中身が水っぽくならない・調味料を入れられるといった実用上の機能を両立させた。現場で集めた383点の試料ではほとんどが正しく識別された。
この記事の要点
- 透明なPETとPSは見た目で区別しにくく、選別の精度が上がらない
- テラヘルツ波の透過特性が樹脂ごとに異なることを利用し、回収施設の自動選別で読む
- 試作容器は中央に平坦な計測領域を設け、底面に三角形の模様を入れている
- 現場で集めた383点の試料ではほとんどが正しく識別されたが、誤判定も生じた
- 従来の容器より積み重ね効率も改善した。他の包装形態での検証は今後の課題
弁当や惣菜の透明な容器は、素材がポリエチレンテレフタレート(PET)のこともポリスチレン(PS)のこともある。どちらも透明で、見た目では区別がつかない。再生の工程では樹脂が混ざると品質が落ちるため、この見分けがつかないことが選別の精度を頭打ちにしてきた。
芝浦工業大学デザイン工学部の研究グループが取り組んだのは、この識別である。使うのはテラヘルツ波で、電波と光の中間にあたる周波数帯にある。物質を透過する際の特性が樹脂ごとに違うため、透過させて測れば種類がわかる。回収施設の自動選別の工程に組み込むことを想定している。
この報告の要点は、測定手法そのものよりも、測りやすい容器を設計した点にある。テラヘルツ波で安定して読むには、波が通る場所が平坦で厚みが揃っている必要がある。容器はふつう、強度や機能のために曲面や凹凸を持つ。研究グループが試作した容器は、中央に平坦な計測領域を設けたうえで、底面に三角形の模様を入れた。中身が水っぽくならないようにする、調味料を入れられるといった容器としての機能は保ちつつ、識別に必要な条件を確保している。従来の容器と比べて積み重ねの効率も改善したという。
分別のしやすさを回収側の技術だけで解決しようとすると限界が来る。設計の段階で読み取りやすさを織り込むという方向は、EUの包装規則が求める「リサイクル可能な設計」とも重なる考え方である。
検証は現場で集めた383点の試料で行われ、ほとんどが正しく識別された。ただし誤判定も生じている。研究グループは、包装の形態や素材を変えた場合、実際の運用条件下での検証が今後必要だとしている。成果は学術誌Results in Engineeringに掲載された(DOI 10.1016/j.rineng.2026.112028)。
| 主体 | 芝浦工業大学(大学・研究機関) |
|---|---|
| 情報の種類 | 研究発表 |
| 本サイト掲載日 | 2026年9月10日 |
| 地域 | 日本 |
| 公開日 | 2026年9月 のアーカイブ |